余談

「乱数などという、プレイヤーにとってどうにもならない計算結果なんて見たってつまんない。そっちで勝手に丸めて、だいたいの結果だけ見せてよ」

ちょいと乱暴な言い方ですが、コンピュータRPGでは、そう感じることがよくあります。

ゲーム中、なるべく乱数を使わないという発想は、オリジナル作品(Desigeniに限らず)を作るトリガになりえると思います。

RPGのダメージ計算等には、意外に乱数を適用せずともゲームが成り立ったりします。本来なら世界樹あたりにこの辺、挑戦して欲しいです。

ダメージ用の乱数からはほとんど法則性が見いだせないため、最近は私、ノイズ情報の一つと考えるようになっています。

(ノイズ情報=プレイヤーにとって優先度の低い情報で、見せてしまうことによって脳に無駄な仕事をさせ、眠くさせる)

乱数が価値を出すときは、その範囲を見せるときくらいだろうと考えています。

たとえば2d8というパラメータを用いるのは、アイテムや呪文の性能を表すため、という考え方です。2d8は期待値である「9」が性能になるわけですが、その9という値の大きさを表現する一つの方法として、2d8という乱数を扱うことができます。9よりもカッコいいかもしれない、というただそれだけのことですが、私は表現としてはアリだと思います。

でも、9には9の価値があるだけなので、2d8という値の範囲にはあまり意味がないです。いっそ2d8と表記して、9ダメージのみを採用したいくらいです。

下限である2と、上限である16およびそれらに近い値を出現させたい場合は、その数値を見せるための理由と法則を作り、狙って2や16を算出すべきであって、法則がほぼ存在しない乱数を使うことは手抜きの一つという見方もできます。

既存のコンピュータRPGは、古くはTRPGの影響を強く受けていますが、いまだにサイコロ依存、つまり乱数依存から抜けられません。TRPGでは友達との盛り上がりや、会話のリズムがもっとも重視されるので、音を立ててダイスを振る姿と音とタイミングに、意味がありました。

コンピュータRPGはただ「ばらつき」を得るために、乱数という低コストで作れる処理機能を利用しているだけです。用途はTRPGより劣化しています。

もう一点、乱数が価値を出すのは、初期化のときだと考えています。簡単な例ではワールドマップを作るとき、迷路を作るとき、アイテムを作るとき、モンスターを作るとき。一度パラメータを作ってしまえば使いまわされ、これらが乱数として定着することがなく、プレイヤーにはゲーム中の乱数の働きを意識させません。

乱数が予測不能な状況を作り出し、プレイヤーに想像力を与えるという意見もあるようですが、それはまたその通りなのかもしれません。私は方法の一つとして、乱数を使う・使わないという話を提示することにします。